建築学科の環境入門 -Architecture&Environment


解説


圧力(相対圧力・大気基準圧)について

換気の問題を解くときに圧力って色々あったけど詳しくまとめて欲しい!

換気の問題を解くときに、圧力と言う言葉に対して特に気にせず解いていますよね。圧力について理解することで、換気について理解しやすくなり同時に覚えやすくなります。

この記事を読むとわかること
圧力について理解することで、換気についてさらに理解しやすくなります!

それでは解説を始めます。

圧力とは

圧力

空気の重さによる面積当たりの力のことです。

ここでは簡単に単なる力としてイメージすると理解しやすなります。(実際は力ではないので、仮想的な力として考えてみましょう。)

相対圧力とは

相対圧力

大気圧同士の差のことです。

相対圧力は、相対という言葉から基準となる高さがあることがわかります。基準は定めればどんなところでも指定して良いのですが、建築的には床が基準となりやすいです。

また、相対圧力は、室内から見ると外部圧が0、内部圧が相対圧力の大きさであると単純化して考えることができます。

※大気圧は高さによって異なり、空に向かえば向かうほど小さくなります。これはその高さに乗っかる空気の量がだんだん減っていくためです。

相対圧力をさらに理解しよう!

例えば以下を見てください。

これは床の高さを基準(h=0)として、この床高さの大気圧の大きさをP(0)、またその室内の高さhでの大気圧の大きさをP(h)とします。

この時、高さh(基準は床)の相対圧力は
P(h)-P(0)(<0)
となります。
高さが大きい方から小さい方を引き算しているので、相対圧力は負の値をとります。

大気基準圧とは

大気基準圧

同じ高さの大気圧を基準としてた気圧の大きさのことです。

式で表すと高さhにおいて
大気基準圧 = 室内気圧 -  大気圧
となります。

大気基準圧の公式とは

大気基準圧を求める公式

p = g(ρ(o)- ρ(i))(h-h(n))
(ρ(o):外部の空気密度、ρ(i):内部の空気密度、h:室内高さ、h(n):室内外差圧が0の高さ)

基準を設定した大気基準圧を求めてみよう!

基準を床面とした高さhの大気基準圧p(ah)は

床面基準の高さhの大気基準圧p(ah)

p(ah) = (p(ia)- gρ(i)h)- (-gρ(o)h)    (A)
(p(ia):床面高さの大気基準圧、p(i):室内の空気密度、p(o):外気の空気密度)

と表されることがあります。これは


高さhの大気基準圧 =  (床面高さの大気基準圧 - 高さh~0の差分の圧力)
-高さhの相対圧力

となります。なぜ、この式が成り立つのかは右辺をそれぞれを分解してみると理解できます。

床面高さの大気基準圧 = 床面高さの気圧 – 床面高さの大気圧
高さhの相対圧力 = 高さhの大気圧 – 床面高さの大気圧

これを右辺に代入すると

(右辺)= {(床面高さの気圧 – 床面高さの大気圧)- 高さh~0の差分の圧力 } – (高さhの大気圧 – 床面高さの大気圧)


並べ替えると、床面高さの大気圧は消えて

= (床面高さの気圧 – 高さh~0の差分の圧力) – (高さhの大気圧)
= (高さhの気圧)- (高さhの大気圧)
=  高さhの大気基準圧

となり、この式は成り立ちます。

また、(A)の式をまとめて、高さhの大気基準圧を確認してみましょう。

高さhの大気基準圧

p(ia) – g(ρ(i)-ρ(o))h
つまり
高さhの大気基準圧 = 床面高さの大気基準圧 – 高さhの大気圧を基準とした内外部の差圧

となります。

以上です。