風力換気の総合実行面積ってなんか2種類見たことあるけど、そもそもその違いってなんなの?
2種類の総合実行面積の図の違いについて疑問を抱いた経験ありませんか?その違いを図やポイントを紹介して解説していきます。
それでは解説をはじめます。
問題文はこちらです。
上図の総合実行面積、各開口からの風量Q1、Q2、Q3、Q4を求めよ。
ただし、α1=α2=α3=α4=0.6、A1=0.01、A2=0.02、A3=0.01、A4=0.03、V0=5[m/s]、C1=0.8、C2=-0.4とし、p1、p2、p3、p4を定める。
まずは総合実行面積を求めます。
総合実行面積は換気に関わる窓の面積のことで、2種類が考えられます。
ポイントを押さえて片方だけ覚えて、それかそれ以外かで覚えましょう。
☆ポイント すぐ隣の窓は間の壁は無視できる(右図)☆
上図の2つの違いは窓と窓がすぐ隣か反対にあるかです。直感的に、空気が合流するから単純に足せばいいとわかります。
上図左から窓W1、W2の総合実行面積(αA)12について
(αA)12 =α1A1+α2A2
窓W1、W2、W3の総合実行面積(αA)123について
(αA)123 =1/√(1/(αA)1)2 +(1/α3・A3)2 )
=1/√(1/(α1A1+α2A2))2 +(1/α3・A3)2 )
次に全体の総合実行面積(αA)1234について
(αA)1234 =1/√(1/(αA)123)2 +(1/α4・A4)2 )
=1/√(1/1/√(1/(α1A1+α2A2))2 +(1/α3・A3)2 ))2 +(1/α4・A4)2 )
=0.005427…..
となります。式は複雑ですが、代入するだけなので簡単です。
次に換気量を求めます。
今回の場合、それぞれの換気量の関係は
Q1+Q2=Q3=Q4
これは換気における大原則を知る必要があります。
換気における大原則
入る量=出る量
の関係が考慮されています。
換気量の公式は
換気量の公式
Q=αA√(C1-C2)×V
また
Q=αA√((2/ρo)・Δp)a
≒1.29αA・√Δp
(αA:総合実行面積、Cx:風圧係数、V:外部風速、ρo:外部空気の密度(=1.2[kg/㎥])、Δp:圧力差)
よって換気量は
Q1=1.29α1A1・√Δp
=1.29α1A1・√(0.6(C1-C2)×vo2)
ここで風力換気における圧力差Δpの公式は
風圧差Δpの公式
Δp = (C1-C1)ρo/2・vo2
≒0.6(C1-C2)× vo2
(Cx:風力係数、vo:外部風速)
ここで風力係数Cxを理解してみましょう。
風力係数
1㎥中の風の持ってる運動エネルギー1/2・ρoV2に対する壁にかかる風圧の割合のことです。
つまり壁にかかる風圧を
C×1/2・ρoV2
で表すことができます。
Q1=1.29×0.6×0.01×√0.6{(0.8)-(0)}・52
=0.0268…
≒0.027
Q2=1.29α2A2・√Δp
=1.29×0.6×0.02√0.6{(0.8)-(0)}・52
=0.05362…
≒0.054
Q3=Q1+Q2
=0.081
Q4=Q3
=0.081
最後にp1~p4を求めます。
この図での全ての圧力差は次のように表せ、圧力差の公式(前述)を考慮すると
1室左側壁の前後での圧力差
ΔpW12=p2-p1
=0.6{0.8-(0)}52
=12 ・・・①
(窓W1とW2をまとめて1つの窓W12として考えます。)
1室右側壁の前後での圧力差
ΔpW3=p3-p2
=0.6{0-0}52
=0 ・・・②
2室右側壁の前後での圧力差
ΔpW4=p4-p3
=0.6{0-(-0.4)}}52
=6 ・・・③
全体(1室と2室を1つの室とする)での圧力差
Δp全=p4-p1
=0.6{0.8-(-0.4)}}52
=18 ・・・④
風圧の公式(前述)は
風圧の公式
p=C×1/2・ρoV2
で表せるので
p1=0.8×1/2・(1.2×52)
=12
これを①、④に代入すると
p2=24
p4=30
②、③に代入すると
p3=24
p1=12
答えは
Q1=0.027[kg/h]、Q2=0.054[kg/h]、Q3=0.081[kg/h]、Q4=0.081[kg/h]
p1=12[N/m2]、p2=24[N/m2]、p3=24[N/m2]、p4=30[N/m2]
となります。
◦換気は空気が 入る量=出る量
◦すぐ隣の窓は間の壁は無視できる
これで、「風力換気の基礎を演習で覚える(総合実行面積αAとは・2室の総合実行面積・圧力差Δp・風圧・風量)」は以上です。
今回は計算式を書く量が多かったですが、全て公式に代入するだけなので公式とポイントさえ抑えれば思考はあまり必要なくなりますね。
これに関連した問題は確実に点数を取っておきましょう。