建築学科の環境入門 -Architecture&Environment


解説


断熱材とは(環境工学の視点から理解する!)

上図でより断熱材であると言えるものを選べ。また熱伝導率が最も高いもの材料はどれか選べ。

断熱材ってどうやって判断するの…?

結論から言うと、断熱材は熱伝導率から判断できます。

今回は演習を通して断熱材と熱伝導率の関係を解説します。

この記事を読むとわかること
壁の材料それぞれの熱伝導率から断熱材を判断できるようになります

それでは解説を始めます。

断熱材とは?

断熱材

建物に使われるもので、屋外の気温を室内へ伝わりにくくする材料のことです。

熱伝導抵抗は材料の熱の伝わり辛さを表しているので、断熱材は熱伝導抵抗の大きいものであると分かります。

温度分布から熱伝導抵抗の大きさを見分ける方法とは?

温度分布における熱伝導抵抗はグラフの傾き材料の厚さに着目します。傾きが大きいと言うことは材料間で温度の変化が大きい、つまり熱が伝わり辛さが大きいと分かります。

なぜ材料の厚さにも着目するかは熱貫流率を求める!熱伝達率と熱伝達抵抗の違いも紹介!で解説しているので確認してみてください。

各材料の温度分布における傾きを比較します。A~Dの傾きをa~dとすると、

B>A>D>C

であることがわかります。傾きが大きいほど熱伝導抵抗が大きいのは

Bの材料

となります。

次に熱伝導率についてです。

熱伝導率

材料内での熱の伝わり易さのことです。

また、熱伝導率λkと熱伝導抵抗rkの関係式は、熱貫流率を求める!熱伝達率と熱伝達抵抗の違いも紹介!から次のようになることが分かりました。

λk=lk/rk
(rk:熱伝達抵抗[(m・K/W)]、lk:材料の厚さ[m]、λk:熱伝達率[W/(㎡・K)])

最も熱伝導率が大きい材料とは?

この式から最も熱伝導率が大きい材料
厚みlkが大きく熱伝導抵抗rkが小さいものなのでこの2点を比較してみましょう。A~Dの厚みをa’~d’とすると

厚み:c’>b’>a’≧d’
熱伝導抵抗:B>A>D>C(前述)

以上から選択する材料は

C

となります。

まとめ

この問題のポイントは断熱材と熱伝導抵抗の関係と熱伝導率と熱伝導抵抗の関係を理解することです。定義を確認すると実際にある場合でも応用できるのでしっかりと覚えましょう。最後にポイントを確認してみます。

☆ポイント 抵抗は材料の厚みが影響する☆

材料が厚ければ厚いほど、抵抗は大きくなることを意識すれば忘れづらいです。

別の記事「熱貫流率を求める!熱伝達率と熱伝達抵抗の違いも紹介!」を見るとさらに理解しやすくなるのでチェックしてみてください。