建築学科の環境入門 -Architecture&Environment


実践


開口面積を倍にすると換気量はどのように変化するのか

開口面積と換気量は比例関係じゃないの!?

開口面積と換気量の関係は公式だけで見ると片方を2倍にした時、もう片方も

2倍になるように思ってしまいますよね。結論から言うと傾向は正しいですが、2倍すれば、2倍になると言う単純な関係にはありません。この曖昧な部分を解説していきます。

この記事を読むとわかること
開口面積と換気量の関係について詳しく理解できます!

それでは解説を始めます。

感覚的に窓を大きくひらけば、より空気が入ってくるのがわかりますよね。

この問題を解いて、数値で理解して実践してみましょう。

上図に示されている部屋の換気回数を求めよ。また、窓Bの開口面積を倍にすると換気量はどのように変化するか調べよ。ただし、室容積を50㎥、外部風速Vを5m/s、窓Aの開口面積SA=0.01m2、流量係数αA= 0.6、風力係数C1= 0.4とし、窓Bの開口面積SB= 0.01m2、流量係数αB= 0.6、風力係数C2= -0.2とする。

換気量の公式とは?

換気量Qの公式は

換気量Qの公式

Q=αA√(2/ρo×Δp)×3600 (㎥/h)
または
Q=αA√(2/ρo×Δp) (㎥/s)
(αA:総合実行面積、ρo:外部空気の密度、Δp:圧力差)

と表せます。

これに風圧差Δp = ρo/2 ×(C1-C2)Vo2
(Vo:外部風速、Cx:風力係数)

を代入すると風力換気の公式になります。

風力換気の公式とは?

風力換気の公式

Q= αA・V√(C1-C2)×3600 (㎥/h)

となります。

実際に風力換気の換気量を解く!

問題の条件から、総合実行面積αAは

αA= 1/{( √(1/αASA2+(1/αBSB)2}
=0.01643…

これで、風力換気の公式で未知数はなくなったので代入をしてみましょう。

Q=αA・V√(C1-C2)×3600
=0.01643×5√(0.4-(-0.2))×3600
= 229.1025 …. (㎥/s)

ここで室容積が50㎥なので、換気回数nは

n = 381.837/50
= 7.63…  (回/h) //

また、窓Bの開口面積が倍の時は
SB→2SBと変換すれば大丈夫です。

換気量Q’は

Q’ = 289.794…..
となります。

Q’とQを比較してみましょう。

実際に開口面積を倍にすると換気量はどのように変化するのかを確かめる!

Q’/Q =289.794…../229.1025 ….
= 1.264…. (㎥/s)

つまり窓Bの開口面積を倍にすると、換気量が約1.2倍となりました。

結果から換気量を上げたい時は片方の窓を倍開けば、1.2倍になることがわかります。

また、この条件で換気回数が約8回/hであること、換気回数の推奨が 0.5回/h であるので

約4分間だけこの条件で行えば推奨換気回数を満たすと言えます。

まとめ

今回は風力換気をとりあげましたが、換気には温度差換気や他の要素も重なりますので実際の現象とは異なる部分があります。

一度、感覚的なこと(窓を広くすれば換気量が増える)が正しいという証明はやっておくと今後役立つことがあるかもしれません。

以上です。