建築学科の環境入門 -Architecture&Environment


解説


必要換気量・理論空気量について(酸素を例として解説)

必要換気量って何を考えればいいの?

そもそも必要換気量がなんなのか、さらに何を基準に必要な換気量がわかるのを解説します。

この記事を読むとわかること
必要換気量とは何か、理論空気量を踏まえて解説していきます!

それでは解説を始めます。

必要換気量とは

必要換気量

室内空間を快適な状態を保つために必要な換気量のことです。

必要換気量について酸素を例にして考える!

例として酸素のみが消費される場合の必要換気量を考えてみましょう。換気のポイントは特定の1つだけを入れ替えることではないことです。

☆ポイント  換気は空気という混合物☆

換気は空気(窒素、酸素、二酸化炭素などのまとまり)の入れ替わりであることに注意してください。酸素のみの入れ替わりではありません。

これを踏まえて問題を解いてみましょう。

実際に酸素について必要換気量を求める!

問題は以下です。

室内で筋トレした際に必要な酸素を100(L/h・人)とします。これは、1人が1時間に消費する酸素が100Lであることを意味します。

空気中に含まれる酸素は21%で、19%まで低下しても健康上支障がないとされています。

ここで冒頭にあった必要換気量の「必要」の基準とは何かがわかります。

必要換気量の「必要」とは?

それは、健康上問題があるかどうかです。

そもそもなぜ換気をするのかと言うと、室内空気を新鮮にしないと健康に支障をきたしてしまうからですね。

これらのことを踏まえると、常に空気が2%だけ新鮮な空気と入れ替われば酸素の濃度は一定に保たれ、その換気量が消費される酸素の換気量 100(L/h・人) であれば十分な換気と言えます。

よって酸素の必要換気量は

(酸素について) 供給される量 = 消費される量
であることを考慮して式を立てると、

必要換気量 × 2% = 100
必要換気量 = 5000 (L/h・人)
となります。

他にも熱量の発生や質量の発生でも同様のことが言えます。こららのことをまとめると必要換気量は

単位時間で発生する入れ替えるべき物質の物理量/単位物理量中に入れ替えるべき物理量(入れ替えるべき物理量の物質は単位物理量の物質とは異なる)

と言えます。

理論空気量とは

理論空気量

一回分の燃料が完全に燃焼、つまり燃料がなくなるのに必要な空気の量のことです。

今回は、燃焼に必要な空気中に含まれる酸素に着目します。空気中に含まれる酸素は21%で、19%まで低下しても健康上支障がないとされています。

常に空気が2%だけ新鮮な空気と入れ替われば酸素の濃度は一定に保たれます。これより、理論空気量は
理論空気を解く際のポイントは酸素を空気という混合物内の物質であることを留意することです。 

☆ポイント 酸素は空気の中の1物質☆

供給される量 = (酸素について) 燃焼に必要な(消費される)換気量
つまり
供給される量(必要換気量) × 空気中の消費される酸素の割合/空気中の酸素の割合 = 完全燃焼に必要な空気量(理論空気量)

必要換気量 = 理論空気量 × 0.21/0.02
      = 理論空気量 × 10.5


となります。

以上です。